瞑想の哲学②「アーサナ」

Meditation 瞑想

八支則の第3段階「アーサナ」

はるか遠い昔

パタンジャリさんというヨーガ行者の仙人がいました。

瞑想、ヨーガという純粋な教えは、当時書物がなかったため口頭で少しずつ広がっていきます。
博学なパタンジャリさんは瞑想、ヨーガの自然的で純粋、そして精神的な教えの一部を世の中のもっと多くの人々に広めたいと願いました。
そして「ヨーガ・スートラ」という本が完成します。(紀元前400年頃に記述されました)


この本では八支則(アシュタンガ)と言われる8つの段階が説かれています。瞑想を深めるための順番、踏んでいくべきステップになります。この8つ(アシュタンガ)の段階に沿ってヨーガを学んでいくとされています。

また瞑想を学ぶ上で、ヨーガ哲学は基本的な考えになります。

その学びを純粋に聡明に理解することができれば、人に大きな影響力を与えることができるツールでもあります。または自ら世界を切り開き良い方向に導くこともできます。自身の心身を健康に保つためにもこの哲学の理解は欠かせません。

今回はその基礎になる八支則の第3段階「アーサナ」についてお話ししていきます。

第1段階「ヤマ」と第2段階「ニヤマ」についての記事は下記を参照してくださいませ。

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瞑想、ヨーガの八支則(アシュタンガ)

(段階を追って学んでいきます。)
1:ヤマ(禁戒)
2:ニヤマ(勧戒)
3:アーサナ(坐法)
4:プラーナヤーマ(呼吸、調気法)
5:プラティヤハーラ(感覚の制御)
6:ダーラナー(凝念、集中)
7:ディヤーナ(静慮、瞑想)
8:サマーディ(三昧、悟り、解脱)

8つの段階は、外的と内的のヨーガに分けられます。

1〜5:外的ヨーガ(バヒランガ)=ヨーガの準備段階
6〜8:内的ヨーガ(アンタランガ)=ヨーガの本質段階

「アーサナ」坐法

「アーサナ(坐法)は快適で安定したものでなければならない。」(ヨーガ・スートラ:2−46)

「ヨーガ・スートラ」に書かれているアーサナについての言葉になります。現在スタジオで行うヨーガと言うと、ほとんどがアーサナ(ポーズ)が中心になります。

本来、伝統ヨーガではアーサナは坐法であり、長時間座り続け瞑想を深めるための姿勢とされていました。その姿勢を長時間保持できるための肉体と精神力を高めてくれるのもアーサナの練習になります。

アーサナを行う目的

「アーサナが快適で安定した状態」とは、肉体的だけでなく精神的にも安定して長時間座っていられる状態のこと。

「膝が痛い」「腰が痛い」「身体が力んでいる」「姿勢を保つのに苦労する」この様な肉体的状況では快適で安定した瞑想は実現しません。

そして、身体の不具合は心の不具合にもつながって行きます。それよりも強く、心がもたらす身体の不具合もあります。心と身体は別々ではなく常に連動し影響し合っているからです。身体が快適で静かに安定できる状態になれば、心にも安定が生まれます。

肉体的な平安と精神的な平安、この心身状態を目指し行うのが八支則の第3段階「アーサナ」です。
安定して座り続けるために肉体と精神を鍛錬し、瞑想を深めるのに必要な身体を作る、これがアーサナの本来の目的になります。

エゴを手放す

アーサナは体を動かすため、フィジカルで、肉体的、外面的な練習と思いがちです。実際には「外に向いている意識を手放し、内側の感覚に意識を向ける」ための練習です。

「あの人の方が上手」
「あの人の柔軟性が羨ましい」
「みんながやってるから自分も無理に行う」

外面のポーズの美しさや完成度、出来る出来ないにとらわれて外に意識を向けていては、自我(エゴ)が増えるばかりでせっかくのアーサナの効果が得られません。アーサナは周りと競い合ったり、人と合わせたり、美しいポーズを行うのが目的ではありません。

外側の意識を内側へ

外に向いている意識を内側へ向ける」

アーサナを通して、外に向いてしまっている意識を自分の内側へ向ける練習を行います。今の自分の身体の状態を観察、心の状態を観察、常に自分の心身を観察し気づきを持って取り組むことが重要です。「腰が張っているな」「肩が力んでるな」「集中力が続かないな」自分の心身の状態に気づきを持って、感じ、取り組み、認め、そして受け入れます。

今の自分の状態を俯瞰し、今の自分に何が必要なのか?まずは自分を知ることから、アーサナ実践を始めていきます。練習への取り組み方や意識が変わると、自身の身体も心も大きく変化し、進化します。

この意識はアーサナを取り組んでいるときだけでは無く、普段の何気ないふとした瞬間にも当てはまるかもしれません。身体と心を動かす時以外でも、何気ない日常で私たちの内側や意識について俯瞰することが瞑想の実践となります。

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