瞑想の哲学③「プラーナヤーマ」

哲学

八支則の第4段階「プラーナヤーマ」

紀元前400年ごろ、聖者パタンジャリさんにより編纂されたという「ヨーガ・スートラ」。
口伝伝承の教えをまとめた本で、4章195節のサンスクリット語の文章で構成されています。

「スートラ」=糸

スートラとは糸の意味、糸のような短い文章が集められた文献です。
1本1本想いを込めて紡ぐ糸のように、それぞれの文章には美しい意味が込められています。
現代ヨーガにおいて、「ヨーガ・スートラ」はヨーガ哲学を説明する重要な経典の1つです。

この本では八支則(アシュタンガ)と言われる8つの段階が説かれています。
ヨーガを深めるために踏んでいくべき段階で、
本来はこの8つ(アシュタンガ)の段階に沿ってヨーガを深めて学んでいかなければなりません。

またヨーガ哲学の基本的な教えになります。
心身ともに健康的な人生を送るための教訓ともいえるでしょう。

今回は八支則の第4段階である「プラーナヤーマ」について
理解を深めましょう。

第1段階「ヤマ」と第2段階「ニヤマ」、
第3段階「アーサナ」についての記事は下記を参照してください。

ヨーガの八支則(アシュタンガ)

(段階を追って学んでいきます。)
1:ヤマ(禁戒)
2:ニヤマ(勧戒)
3:アーサナ(坐法)
4:プラーナヤーマ(呼吸、調気法)
5:プラティヤハーラ(感覚の制御)
6:ダーラナー(凝念、集中)
7:ディヤーナ(静慮、瞑想)
8:サマーディ(三昧、悟り、解脱)

8つの段階は、外的と内的のヨーガに分けられます。

1〜5:外的ヨーガ(バヒランガ)=ヨーガの準備段階
6〜8:内的ヨーガ(アンタランガ)=ヨーガの本質段階

「プラーナヤーマ」呼吸法、調気法

「プラーナ」=気、生気エネルギー、生命エネルギー
「アーヤーマ」=拡張する、制御する

プラーナヤーマは生気エネルギーを制御し、拡張するという意味を持ちます。

ヨーガのレッスンでは主に「呼吸法」として実践されます。
吸気(吸う息)を通して新鮮なエネルギーを取り入れ、止息(クンバカ)でエネルギーを保ち、
呼気(吐く息)を通して古いエネルギーを排出、身体を浄化する。
呼吸により身体を浄化し、全身に生命エネルギーを行き渡らせるという実践です。

プラーナヤーマには呼吸をコントロールすることを指すだけでなく、
全ての生命活動を支えるエネルギーをコントロールすることも含まれます。
日常で摂取する食べ物や飲み物から得られるエネルギーをどう活用するか、
学んできた知識や積み重ねた経験のエネルギーをどう活用するか、
自分を取り巻く全てのエネルギーを生命活動にどう活かすか、
これらもプラーナヤーマであると考えましょう。

呼吸をコントロールすること=心と身体をコントロールすること

普段、意識をせず行なっている「呼吸」。
この無意識で行なっている呼吸が、ストレスや自律神経を乱す原因となっている可能性があります。

呼吸は自律神経と密接な関係があります。
吸気(吸う息)で交感神経の働きが高まり、
呼気(吐く息)で副交感神経の働きが高まります。

ストレスを受けると交感神経が過緊張を起こし、副交感神経がうまく働かなくなります。
これが自律神経のバランスが崩れた状態です。

さまざまな心身の不調をきたす原因ともなります。

呼吸法を行うことで、交感神経と副交感神経のバランスを整えることができます。
これにより自律神経のバランスがコントロールでき、
体内に取り込んだエネルギーをうまく活用することができます。

呼吸をコントロールすることは、
心と身体のコントロールを可能にすると考えましょう。

「プラーナヤーマ」種類

■注意
プラーナヤーマは大変難しい実践です。
安易に自己流で行うと、心身のバランスを崩し悪い影響を及ぼす可能性があります。
必ず熟達した師の元で練習をスタートさせてください。

ここでは代表的な呼吸法を紹介します。

①カパラバティ
「カパラ」=頭蓋骨
「バティ」=輝かせる、光
火の呼吸法ともいわれ、身体を温めて内臓を活性化させていきます。
浄化法としても行われる呼吸法で、
強く息を吐き出すことで鼻の奥、頭のモヤを吹き飛ばしスッキリさせます。
横隔膜や腹筋を使う激しい呼吸法です。
高血圧、生理中、妊娠中、体調の優れない時は避けましょう。

②ナーディ・シュッディ
左右の鼻から交互に呼吸する呼吸法。
浄化法としても行われる呼吸法で、自律神経が整い、
心身のバランスを効果が改善する効果があります。
普段の生活で、私たちはどちらの鼻から呼吸するかを選んではいません。
それを意識的にコントロールすることで、
体の中にある生命エネルギーを整えて心身のバランスをとるのがこの呼吸の目的です。

③ウジャーイー
勝利の呼吸法ともいわれます。
横隔膜から上部の胸呼吸で行います。
血液の循環、内臓の浄化を促し、神経を静め、心身のバランスを整える効果があります。

④シータリー
「シータリー」=冷ます
口から息を吸い舌から冷たい空気を体内に取り入れて、
鼻から体内の暖かい空気を出し体を冷ます呼吸法です。
ストレス緩和、不安な気落ちを落ち着かせる、身体のほてりを抑える、血液の浄化、
心身の気を静めるなどの効果があります。

⑤ブラーマリー
蜂の呼吸法ともいわれます。
ブーンという蜂の羽音の様な音を出し、内側の響いている音に意識を向ける呼吸法です。
ハミングをするように音を出すことで頭蓋骨に振動音が響き、
その余韻を味わうことで心が静まりやすくなります。
ヒーリング、リラックス、疲労回復、不眠解消、集中力アップの効果が期待できます。

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