「トゥルシー」について
「比類なきもの」「聖なる植物」トゥルシー
トゥルシーはサンスクリット語で
「比類なきもの」
「比べるものが無いくらい素晴らしいもの」を意味し、
西洋では神聖なハーブとしてホーリーバジルと呼ばれるハーブです。
ヒンドゥー教では女神ラクシュミの化身とされ、「聖なる植物」として人々に崇められてきました。
死神を寄せ付けない植物として家を守る効果があるとされていて、
今でもヒンドゥー教の寺院にはトゥルシーが植えられています。
またトゥルシーは古くから「万能のハーブ」ともいわれ、とても多くの薬効があるとされてきました。
味にクセがなく、効果効能が多くあり、料理やハーブティーで利用されています。
タイ料理で有名な「ガパオライス」はトゥルシーが使われており、
「ガパオ」はトゥルシー(ホーリーバジル)のことを指します。
バジルの種類と特徴
シソ科の1年草のバジルは種類が多く150種類以上あるといわれています。
特に使用されることの多いバジルの種類をピックアップしてご紹介します。
・ジェノベーゼバジル
イタリア原産のハーブ。
イタリア料理によく使われるジェノベーゼソース作りに適したバジルです。
・シナモンバジル
メキシコで作られた栽培品種。
シナモンの香りがするハーブで、料理や薬草として使われる他、観賞用にも人気があります。
スイートバジルとほぼ同様に使用できますが、そのシナモンの香りを生かしてお茶やドレッシング、
ソース、デザートなどにおすすめです。
料理に使用の際は観賞用ではなく、食用のものを使用しましょう。
・スイートバジル
一般的によく呼ばれる「バジル」「バジリコ」はこのスイートバジルのことを指します。
イタリア料理には欠かせないハーブの一つです。
ハーブの王様とも呼ばれ、名前の由来も「王のような」という意味の「basilicum」に由来しています。
・ダークオパールバジル
スイートバジルの園芸品種。
見た目の色から「赤バジル「「赤バジリコ」「紫バジル」とも呼ばれます。
ダークオパールバジルの使い方は、スイートバジルと同様、薬用、料理や調味料の香りづけに使うことができます。
また、その色の美しさからカラーリーフとして庭や花壇の植栽や寄せ植えなどにも使われています。
・ホーリーバジル(トゥルシー)
アーユルヴェーダで古くから用いられている薬草です。
「万能ハーブ」「聖なる植物」「不老不死の霊薬」とも呼ばれ、
古くから優れた薬効を認められています。強い香りとスパイシーな風味があり、
炒め物やお茶などに使われる使い勝手の良いハーブともいえます。
クセがないため、普通のバジルの代用品にもなります。
・レモンバジル
スイートバジルとレモンの香りを併せ持った、とても爽やかな香りのハーブです。
その香りから別名シトラスバジルとも呼ばれています。
レモンバジルの使い方は、スイートバジルと同様、薬用、料理や調味料の香りづけに使います。
レモンの香りが強いので、サラダに爽やかな風味をプラスしたい時に便利です。
その他ハーブビネガー、お茶、ハーブウォーターなどに使うと、香りの良さを生かすことができます。
アーユルヴェーダからの観点
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダで
「不老不死の霊薬」「比類なきもの」とされているトゥルシーは、
アーユルヴェーダでは最高位のハーブとされています。
トゥルシーは温性の性質を持ち、ヴァータとカパを減らします。
心と身体の免疫力を高揚させて、ストレス耐性を強める働きがあります。
ヴァータ改善の力が強く、不安や鬱、不眠、ストレス性の頭痛、皮膚疾患、過敏性腸疾患などを軽減します。
消化器官に対しては、腸に溜まったガスを抜き腹部の膨満感の軽減にも役立つとされています。
また、カパを下げるので血流を改善し、血糖値やコレステロール値を引き下げます。
のどの痛み、風邪、発熱を軽減し、喘息や鼻炎にも有効とされています。
このように、アーユルヴェーダにおいても大変多くの薬効があり、重宝されているハーブです。
アーユルヴェーダで使用されるトゥルシー(ホーリーバジル)には、数品種あります。
品種によって、花や葉の色、葉の色や形、耐寒性、草丈などが違います。
■ヴァーナトゥルシー
花は白色。葉が大きい品種。耐寒性が強い。
■カプーアトゥルシー
花はピンク色。コンパクトな草姿で甘い香り。
■クリシュナトゥルシー
花は紫色。数あるトゥルシーの中でも一番薬効があるとされています。
基本データ
名前・・・・ホーリーバジル、ガパオ
英名・・・・HOLY BASIL
和名・・・・カミメボウキ
科名・・・・シソ科
使用部位・・葉、茎、種子
グナ・・・・(属性)軽性、乾性
ラサ・・・・(味)辛味
香り・・・・スパイシーな刺激の中にミントのような清涼感
産地・・・・熱帯地域
ハーブ「トゥルシー」
ハーブとしての【作用・効果・効能】
■作用
・健胃作用
・抗アレルギー作用
・抗うつ作用
・抗炎症神経調整作用
・抗菌作用
・鎮痙作用
・消化促進作用
・防腐作用
■効果・効能
・胃炎
・胃酸過多
・胃痙攣
・痛み
・汚染物質から守り免疫機能を強化する
・カパ、ヴァータ性の疾患を落ち着かせる
・寄生虫の侵入
・口腔疾患
・口内炎
・心、神経、感情の鎮静
・消化
・食欲増進
・ストレス
・せき、熱
・尿量を増やす
・皮膚疾患
ストレスによって分泌されるホルモン「コルチゾール」を正常に維持する働きがあるため、
コルチゾールの分泌過多が一因とされる月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)に
使われています。
近年では、美容やアンチエイジングへの効果が注目されています。
主成分のオイゲノールやカリオフィレン、ウルソール酸といった抗酸化成分がストレスホルモンのコレチゾールを抑制し、若返りのホルモン「DHEA」を活性化させるといわれています。
トゥルシーの葉に含まれるエーテル(ジエチルエーテル)には強力な抗菌作用があり、
黄色ブドウ球菌や大腸菌などの菌の繁殖を防ぎます。
これらの有効成分が免疫機能と新陳代謝を高めて、風邪、喘息、生活習慣病、アンチエイジング、肝機能の低下、胃炎、むくみ、さらには血糖値降下、抗痙攣、鎮痛、血圧降下、解熱、虫刺され、白癬、皮膚疾患に外用としても使われており、効能は大変多く多岐にわたっています。
また、トゥルシーは「アダプトゲンハーブ」のリストにも入っています。
アダプトゲンハーブとは、
「トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然のハーブである」とされています。
ハーブ:おすすめの使い方
ストレスを和らげ、免疫力を上げるのにお手軽な方法がハーブティーです。
ホーリーバジルはハーブの中でも直接ストレスに働きかける数少ない「アダプトゲンハーブ」です。
トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスへの抵抗能力を高めてくれます。
■ハーブティー(ドライ)
<用意するもの(1杯分)>
・ドライトゥルシー:小さじ2杯弱(またはティーバッグのもの)
・熱湯:カップ1杯分
・ポットとカップ
<作り方>
①温めておいたポットにトゥルシーを入れる
②熱湯を注ぎ、蓋をして3分程度蒸らして好みの濃さになったら完成
夏場はアイスにして飲むのもおすすめです。
トゥルシーだけで飲みにくい場合は、ミントやレモングラスを入れたり、
緑茶を半分程度混ぜると飲みやすくなります。
喘息など呼吸器系の不調の時は、トゥルシーと共にショウガや黒コショウ、
シナモンを入れて飲むのもおすすめです。
スパイスとの相性もとても良く、美味しく頂けます。
■ハーブティー(フレッシュ)
<用意するもの>
・フレッシュトゥルシー5枚程度
・鍋とカップ
<作り方>
①お鍋にトゥルシーを入れ、水から煮出す
②10分程度煮出し、好みの濃さになったら完成
ハチミツを入れたり、紅茶から煮出すのもおすすめです。
■トゥルシーマサラチャイ
<用意するもの>
・ドライトゥルシー(またはティーバッグのもの)
・紅茶の茶葉(またはティーバッグのもの)
・牛乳
・ショウガ
・カルダモン
・シナモン
・ローリエ
・鍋とカップ
・茶こし
<作り方>
①鍋に水とトゥルシー、紅茶を淹れて火にかけます
②沸騰する前にスパイス全てを鍋に入れます
③ひと煮立ちしたらミルクを加え、再度ひと煮立ちさせます
④茶こしでカップに注ぎ完成
■ハーブウォーター
夏には、ミントが爽やかに香るトゥルシーのハーブウォーターもおすすめです。
<用意するもの>
・フレッシュトゥルシー適量
・スペアミント適量
・ペパーミント適量
・ガラスボトル
・ミネラルウォーター1L
<作り方>
①ハーブはきれいに洗い、茎から葉を外します
②ガラスボトルにハーブを入れ、ミネラルウォーターを注ぎます
③そのまま冷蔵庫で冷やし、好みの濃さになったら完成
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